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「スカイ・クロラ」 押井守監督 最新アニメ

藤枝正稔2008/06/19
「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」で知られる押井守監督の最新作は、森博嗣の同名小説を映画化したアニメーション「スカイ・クロラ」だ。
日本 映画 NA

<center>「スカイ・クロラ」<br>(c)2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」 製作委員会</center>
「スカイ・クロラ」
(c)2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」 製作委員会
 「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」で知られる押井守監督の最新作は、2Dアニメーションと3D−CG(コンピューター・グラフィックス)を融合したアニメーションで、森博嗣の同名小説を映画化した「スカイ・クロラ」だ。声の出演に菊池凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介など、日本映画界を代表する若手俳優が顔をそろえた。

 舞台は現代と良く似た世界。日本語、英語、ポーランド語が飛び交い、レトロとハイテクが同居する架空の街だ。主人公は“キルドレ”と呼ばれる子供たち。思春期の姿のまま成長をやめ、年をとらず、大人にもならず、戦争で死なない限り永遠に生き続ける。そんな彼らを利用して、平和を実感するため「戦争請負会社」がショーとしての戦争を繰り広げる。キルドレたちが所属する日系企業「ロストック社」と、敵対する欧州系企業「ラウテルン社」は、終わらない戦争を続けている──。

「スカイ・クロラ」予告編 (1分1秒)

 最先端の3D−CGを駆使した戦闘機の空中戦と、昔ながらの2Dアニメを使ったドラマシーンが融合されたスタイルだ。まず年に数本程度しかアニメ作品を見ない私から見ると、2Dと3D−CG映像が切り替わる時の統一感のなさが非常に気になった。戦闘機は非常に精巧に作られており、実写かミニチュアか見まがうほど。空中戦のシーンは、記録映像のようなピントの甘さ、カメラのブレや激しいターンにズームインと、本当によくできている。ここぞという見せ場には、スローモーションを使ってケレンミたっぷりに見せる。

 いざコックピットにカメラが切り替わると、2Dアニメの人物が戦闘機を操縦している。映像の落差に非常に違和感を感じ、バラバラの絵を切り貼りした印象を受けてしまった。同じようにドラマシーンでも、細部まで丁寧に書き込まれた背景に対し、脱色したようなセピア調のキルドレは、表情も乏しく感情も見えてこない。まるで人形のようで、見ている観客も感情移入しづらい。情報を小出しにしているので、原作を未読の者には作品の世界観も理解しづらい。

 特にキルドレの輪廻転生的な人物背景。人物が記憶に左右されず、先人の癖や特徴を継承しているようだ。主人公のカンナミがマッチを半分に折って捨てる癖や、同僚のパイロット・ユダガワが新聞を丁寧に折る癖など、癖が継承されていることを観客に暗示する。リドリー・スコット監督の「ブレード・ランナー」(82)で、主人公がレプリカント(人間と見分けのつかないアンドロイドの呼称)であることを暗に示す“折り紙のギミック”と共通するアプローチだろう。

 押井守監督は「イノセンス」の完成後、「一度見ただけで分かられてたまるか」と発言したという。今回も監督の意志が反映されているのかもしれない。一部マニアに向けた難解なものより、万人が楽しめる作品を作ってほしい。

×××××


「スカイ・クロラ」(2008年、日本)

監督:押井守
声の出演:菊地凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介

8月2日、渋谷東急、丸の内TOEI2ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

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[36811] マニアとは
名前:加納かがり
日時:2008/09/07 02:12
「スカイ・クロラ」は、この前、見に行きました。かなり面白く見てきました。

この記事のなかで、「一部マニアに向けた」という部分だけが、ひっかかりました。
わたしはアニメマニアでも戦闘機マニアでもないし、押井守という名前も、今回はじめて知りました。
というわけで、どうころんでも、私は何のマニアにもなれそうもないのですが、この記事で言うところの「マニア」は、何のマニアなのでしょうか?

強いて文章を読み取るなら、「難解マニア」でしょうか。


私のこの映画の印象ですが、かなりマニアックなつくりはされているけれども、「マニア向けの映画」では断じてない、ということです。
押井守氏は、そんなつもりで、つくってはいないと思います。
[36442] 難解だからこそ押井アニメ、そしてメッセージを若者に
名前:坂井貴司
日時:2008/08/24 00:10
 私は難解なアニメをつくるからこそ、押井守の真骨頂があると思います。万人向けのアニメを作るのは彼にとっては不可能なことです。
 さて、この「スカイ・クロラ」はマニア向けに作ったのではないと、見終わった後に私は思いました。生きている実感がない、生きる事に意味を見いだせない、生きることにつらさを感じている若者に向けて「それでも、僕らが生きている世界はそう捨てたものじゃない」と56歳の壮年になった押井のメッセージが込められています。永遠に生きることに絶望した草薙水素の自殺を止める函南優一の言葉がそれを物語っています。「君はそれでも生きなきゃいけない」。『もののけ姫』の「生きろ!」という激しさはなくとも、そこに込められたメッセージの重さは同じものです。
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