「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」で知られる押井守監督の最新作は、森博嗣の同名小説を映画化したアニメーション「スカイ・クロラ」だ。
「スカイ・クロラ」
(c)2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」 製作委員会
「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」で知られる押井守監督の最新作は、2Dアニメーションと3D−CG(コンピューター・グラフィックス)を融合したアニメーションで、森博嗣の同名小説を映画化した「スカイ・クロラ」だ。声の出演に菊池凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介など、日本映画界を代表する若手俳優が顔をそろえた。
舞台は現代と良く似た世界。日本語、英語、ポーランド語が飛び交い、レトロとハイテクが同居する架空の街だ。主人公は“キルドレ”と呼ばれる子供たち。思春期の姿のまま成長をやめ、年をとらず、大人にもならず、戦争で死なない限り永遠に生き続ける。そんな彼らを利用して、平和を実感するため「戦争請負会社」がショーとしての戦争を繰り広げる。キルドレたちが所属する日系企業「ロストック社」と、敵対する欧州系企業「ラウテルン社」は、終わらない戦争を続けている──。
最先端の3D−CGを駆使した戦闘機の空中戦と、昔ながらの2Dアニメを使ったドラマシーンが融合されたスタイルだ。まず年に数本程度しかアニメ作品を見ない私から見ると、2Dと3D−CG映像が切り替わる時の統一感のなさが非常に気になった。戦闘機は非常に精巧に作られており、実写かミニチュアか見まがうほど。空中戦のシーンは、記録映像のようなピントの甘さ、カメラのブレや激しいターンにズームインと、本当によくできている。ここぞという見せ場には、スローモーションを使ってケレンミたっぷりに見せる。
いざコックピットにカメラが切り替わると、2Dアニメの人物が戦闘機を操縦している。映像の落差に非常に違和感を感じ、バラバラの絵を切り貼りした印象を受けてしまった。同じようにドラマシーンでも、細部まで丁寧に書き込まれた背景に対し、脱色したようなセピア調のキルドレは、表情も乏しく感情も見えてこない。まるで人形のようで、見ている観客も感情移入しづらい。情報を小出しにしているので、原作を未読の者には作品の世界観も理解しづらい。
特にキルドレの輪廻転生的な人物背景。人物が記憶に左右されず、先人の癖や特徴を継承しているようだ。主人公のカンナミがマッチを半分に折って捨てる癖や、同僚のパイロット・ユダガワが新聞を丁寧に折る癖など、癖が継承されていることを観客に暗示する。リドリー・スコット監督の「ブレード・ランナー」(82)で、主人公がレプリカント(人間と見分けのつかないアンドロイドの呼称)であることを暗に示す“折り紙のギミック”と共通するアプローチだろう。
押井守監督は「イノセンス」の完成後、「一度見ただけで分かられてたまるか」と発言したという。今回も監督の意志が反映されているのかもしれない。一部マニアに向けた難解なものより、万人が楽しめる作品を作ってほしい。
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「スカイ・クロラ」(2008年、日本)
監督:押井守
声の出演:菊地凛子、加瀬亮、栗山千明、谷原章介
8月2日、渋谷東急、丸の内TOEI2ほかで全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。