中国人慰安婦の生涯を追ったドキュメンタリー映画「ガイサンシーとその姉妹たち」の班忠義監督が11月2日、上映中の東京・ポレポレ東中野で行われたトークイベントに参加した。
中国人慰安婦の生涯を追ったドキュメンタリー映画「ガイサンシーとその姉妹たち」の班忠義監督が11月2日、上映中の東京・ポレポレ東中野で行われたトークイベントに参加した。「ガイサンシーとその姉妹たち」は、中国・山西省の侯冬娥(こう・とうが)さんら、元慰安婦女性が受けた傷と苦しみを映し出す。「ガイサンシー」とは、山西省で“一番の美人”を表す言葉。
「ガイサンシーとその姉妹たち」
班監督は上映前、客席に向けて語りかけた。
「10年という長い歳月をかけて撮った。撮るまではいろいろ難しいこともあった。50年も隠されていた痛みを、心から引き出すのは大変苦しいことだ。彼女たちとの信頼関係を作るのが基本姿勢だと思ってきた。私は中国人で被害者側に立つ人間だが、歴史の真実を追究するため、加害者側の日本人の取材をした。取材対象を探し、連絡し、方ってもらうまで7年かかった。私自身にとっても、勉強の過程になった。大変悲惨な、なかなか脱出できない暗黒の歴史に入りこんでしまったようだった。今思えばよかったと思う。彼女たちが私に語ることで、多少はトラウマから開放されたのではないか。彼女たちは、賠償よりも日本政府の謝罪を求めていた。一般の住民がなぜ被害が受けたのか。『謝ってほしい』という気持ちが強く、『日本の若い人に伝えたほしい』と語ってくれた。『ガイサンシーとその姉妹たち』が日本で上映できて本当によかったと思う。
『慰安婦』という言葉は、もともと中国語にない。最初は彼女たちは『私たちは慰安婦ではない。日本軍が自分の村に来て、運が悪かったのだ』と自分に言い聞かせる。周りの人々も慰安婦とは呼ばない。しかし、ガイサンシーは何度も離婚し、病気で苦しみ、悲惨な最期を遂げた。同様に被害を受けた女性たちも結婚できず、貧乏で、大変な人生を送った人が多い。昔の傷跡の上に、二重の被害を受けて、彼女たちは50年間生きてきた。慰安婦について調べることで、世界中の女性被害を見る目が変わった。慰安婦問題は氷山の一角だ。彼女たちが被害を受けたのは貧しい田舎だった。ゲリラ戦で相手の軍隊が見つからず、日本軍は村の奥まで入り込んでいった。当時の戦争被害のひどさを見て頂ければと思う。
(同時上映されている)『チョンおばさんのクニ』(00)は、朝鮮半島の女性被害を描いている。『人の人生を台なしにした』ということを分かってほしい。人生を壊したのは何なのか。戦争とは何なのか。彼女たちの傷跡は残り、差別は続く。戦争のひどさ、傷跡の深さを分かってほしい。日中には歴史問題があり、心からの友好はできていない。被害者の痛みを、国を越えて分かってほしい。事実を提示して、想像力をもって、戦争の中で生きる人間を理解してほしい。そこから日中友好が生まれるのではないか。きょうはどうもありがとうございました」
「ガイサンシーとその姉妹たち」は、
ポレポレ東中野で11月23日まで上映中。
レビュー:
「ガイサンシーとその姉妹たち」(下平真弓)