「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008」オープニング作品として上映された韓国のクァク・ジェヨン監督の「僕の彼女はサイボーグ」。クァク監督は「日本人俳優への演出は難しくなかった」、サイボーグ役の綾瀬はるかは「目の動きに気を使った」、小出恵介は「アクションが厳しかった」と話した。
「映画祭に参加できてよかった」と話す綾瀬はるか(左)と小出恵介=北海道夕張市民会館で3月20日、遠海安撮影
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008」のオープニング作品は、韓国のクァク・ジェヨン監督が日本でメガホンを取った「僕の彼女はサイボーグ」(主演・綾瀬はるか、小出恵介)。自分の誕生日を自分で祝う寂しい大学生・ジローはある日、不思議な女の子に出会う。その日からジローの運命は変わる。かわいいいけれどエキセントリックな彼女は、実はサイボーグだった──。
奇想天外な純愛ストーリー誕生のきっかけは夕張だった。2003年の映画祭でクァク監督と山本又一朗プロデューサーが出会い意気投合。共同で作品を作る運びになった。 クァク監督、山本プロデューサーとともに夕張を訪れた綾瀬はるかと小出恵介。小出は「アクションも厳しく、今までで一番大変だった」、綾瀬は「(サイボーグ役なので)目の動きやしぐさに気を使った」と撮影を振り返り、クァク監督は「(日本人俳優には)言葉より行動で演出したので、難しくはなかった」と語った。
「演出は言葉より行動で」と話すクァク・ジェヨン監督=同
クァク監督は「猟奇的な彼女」(01)や「ラブストーリー」(04)の監督を務めたほか、「純愛中毒」(02)や「デイジー」(06)では脚本を担当。「猟奇的な彼女」は02年のゆうばり映画祭で、ヤング・ファンタスティック・コンペティション部門のグランプリを獲得している。山本プロデューサーはアニメ映画を中心に企画・製作に携わってきた。漫画が原作の「あずみ」(03)、「クローズZERO」(07)ではプロデューサーとして斬新な絵作りに腕を振るった。
主演の綾瀬はるかは、04年のテレビドラマ版「世界の中心で、愛をさけぶ」(TBS系)のヒロイン役で注目を集め、07年には連続ドラマ「ホタルノヒカリ」(日本テレビ系)で単独主演を果たした期待の女優。小出恵介は数多くのテレビドラマに出演する一方、「パッチギ!」(05)、「恋空」(07)など映画でも活躍するホープだ。
「僕の彼女はサイボーグ」
(C)2008「僕の彼女はサイボーグ」フィルムパートナーズ
「ゆうばり映画祭、参加できてよかった」
綾瀬はるか、小出恵介との主なやり取りは次の通り。
──ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に参加した感想は。
小出:初めて参加するので緊張していたが、夕張駅に降りた瞬間、市民の皆さんが温かく出迎えてくれて、一気に緊張がほぐれた。市民の皆さんが大事にしているイベントだと強く感じた。
綾瀬:こんな温かい映画祭に参加できてよかった。あきらめない市民の皆さんの気持ちが、復活につながったと思う。
──シナリオを読んだ時の感想は。
綾瀬:クァク監督の作品はよく見ていた。今までの作品と同じように、強いけれどかわいらしい面を持っているヒロインだったので楽しみだった。
小出:「倒れるビルを支える彼女」など、文字で読むだけではイメージがつかめなかった。でも、スケールが大きい映画だと思った。
──サイボーグ役は初めてだが。
綾瀬:動きやしぐさに気を使った。目の動きなどは監督が実演してくれたので、まねをした。
──韓国の監督とのコミュニケーションは。
小出:片言でやり取りしていた。韓国語を覚えようとしたが、監督が日本語を覚えるスピードの方が速かった。監督がキムチを持ち歩いていたので、食事の時に一緒に食べたりした。
──アクションシーンが多かったが。
小出:ワイヤーアクションで長い距離を瞬間移動したり、死ぬんじゃないかと思った(笑)。今まで出演した作品で一番大変だったが、刺激的だった。自分にとって分岐点になる作品だと思う。
「映画に国境はない。感性が合うかどうかだ」
山本又一朗プロデューサー、クァク・ジェヨン監督との主なやり取りは次の通り。
──キャスティングの決定方法は。
山本:未来的なストーリーなので、未来があり役に合うイメージのキャストを考え、クァク監督に提案した。
クァク監督:運命的な出会いがあった。自分が初めてまともに最後まで見た日本のテレビドラマは「世界の中心で、愛をさけぶ」だった。山本プロデューサーから提案されたキャストを見て、綾瀬はるかの名前があるのに驚いた。これは運命だと(笑)。サイボーグという難しい役で、ずいぶん苦労をさせてしまった。
小出恵介は「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョンに雰囲気が似ていると思った。男性的というよりはかわいげがあるタイプだ。実際に撮影に入ったら、コミカルな演技もまたチャ・テヒョンによく似ていると感じた。
──日韓のスタッフがともに作品を作る楽しさと難しさは。
山本:映画には国境はない。映画という“国”があるだけ。そこでは感性が合うかどうかが大事。クァク監督とは03年に夕張でコンペ部門の審査委員を一緒にしたが、意見がぴったり合った。映画祭が終わってからも東京で飲み歩いた。今回の撮影現場でも互いに言葉を教えあったりして、言語が壁になるのではなく、それを越えて楽しむ雰囲気があった。
クァク監督:演出は言葉より行動で示したので、特に難しさは感じなかった。違いと言えば、韓国は準備しながら撮影を始めるが、日本は準備を完璧に終わらせてから撮影を始めることだ。日本は食事を個々で取るが、韓国は一緒に食べる。今回はみんなで一緒に食べることで団結が強まったかもしれない。
──「猟奇的な彼女」などクァク監督の作品に登場する女性は、男性を振り回すわがままさと強さを持っていながら心に優しさを秘めている。こうした女性のイメージは監督の理想像か。
クァク監督:理想像ということでもないが、心は少年で体は大人、という思春期のころに「こんな女性が目の前に現れたらいいな」と思っていた。母のように強く、少女のようにかわいらしく、心が純粋な女性だ。
──他国の資本で映画を作るスタイルは、投資者不足に悩む韓国映画界の一つのモデルケースとなるのではないか。
クァク監督:いいチャンスだと思う。今後につながればいい。そのためにはよい作品を作ることが重要だ。
クァク・ジェヨン 1959年生まれ。慶煕大学物理学科卒。89年に「雨の降る日の水彩画」で監督デビュー。01年「猟奇的な彼女」が大ヒットし、03年に「ラブストーリー」、04年には「僕の彼女を紹介します」と話題作を次々と発表している。
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「僕の彼女はサイボーグ」(2008年、日本)
監督:クァク・ジェヨン
出演:綾瀬はるか、小出恵介
5月31日、サロンパスルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系で公開。作品の詳細は
公式サイトまで。
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