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「ラフマニノフ ある愛の調べ」 天才ピアニストの肖像

吉田しのぶ2008/04/15
ラフマニノフは誰もが認める天才ピアニストだ。「ラフマニノフ」は、彼の才能をひたすら信じ、弱さを受け入れ、ひたすら支え続けた妻・ナターシャの愛の物語でもある。
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<center>「ラフマニノフ ある愛の調べ」</center>
「ラフマニノフ ある愛の調べ」
 20世紀を代表する作曲家であり、類まれな技術を持つピアニスト、ラフマニノフ・セルゲイ(1873〜1943)。その人生は波乱に満ちていた。天才の半生と内面世界を、3人の女性とのかかわりと名曲に秘められた愛の物語を通して「タクシー・ブルース」のパーヴェル・ルンギン監督が描いた。

 1918年、45歳でロシア革命を逃れ、アメリカに亡命したラフマニノフ(エフゲニー・ツィガノフ)。20年代初頭、ニューヨークのカーネギーホールで行われた公演を皮切りに、全米ツアーが始まる。人々の熱狂的な賛辞や支持とは裏腹に、ラフマニノフは祖国への望郷の念や、作曲に苦しむいら立ちから、日に日に憔悴していく。妻のナターシャ(ヴィクトリア・トルストガノヴァ)は、そんなラフマニノフをひたすら励まし支え続ける。

「ラフマニノフ ある愛の調べ」 予告編 (2分9秒)

 ある日、彼のもとにライラックの花束が届く。故郷に咲くその花の香りをかいだ途端、ラフマニノフの心に過去の愛の物語が呼び起こされる。学生時代に恋に落ち、「交響曲第1番」を捧げた、年上の人妻、アンナ(ヴィクトリア・イサコヴァ)。革命に燃えていた情熱的な女子高生・マリアンナ(ミリアム・セホン)。それからも、公演の先々にライラックは届き続ける。送り主はいったいだれなのか――。

 ラフマニノフの人生は、地主貴族であった生家の没落、両親の離婚、恩師との辛い別れ、ロシア革命によるアメリカ亡命など、波瀾万丈である一方、私生活は謎が多く伝説的なエピソードが数多いという。物語の中では、ライラックの花が象徴的に度々現れるが、実際、彼のコンサートには必ず、白いライラックの花束が誰からか届けられていたらしい。

 ラフマニノフの繊細で複雑な心の内面を知り尽くし、そばで献身的に支え続けるナターシャの姿が印象的だった。アンナに捧げた「交響曲第1番」初演の失敗で、自信をなくし、打ちひしがれたラフマニノフを抱きしめるナターシャ。自信喪失から作曲ができなくなった彼を、精神科医・ダール医師の催眠療法によって立ち直させるように取り計らう。しかもこのダール医師は、ナターシャの婚約者だったのだ。ラフマニノフは見事に回復し、その後名曲「ピアノ交響曲第2番」を作曲し、ダール医師に捧げた。

 ナターシャの愛を受けながらも、今度は自分がピアノを教える女子高の生徒、マリアに魅かれるラフマニノフ。革命を夢見る彼女の考えには共感できなかったものの、その情熱的で強い魂に引き付けられ、関係を持つ。ナターシャの愛の大きさに気づき、戻ってきたラフマニノフを強く抱きしめ、「ずっとそばにいる」と誓うナターシャ。2人は結ばれる。結婚後も彼がどんなに荒れようが、やさぐれようが、弱音を吐こうが、絶対に見捨てることなく、ナターシャは彼を支え続ける。

 ラフマニノフは誰もが認める天才だが、彼女がいなかったら、才能がこれほど見事に花開くことはなかったのではないだろうか。彼の才能をひたすら信じ、弱さを受け入れ、ひたすらそばで支え続けたナターシャの愛の物語でもある。

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「ラフマニノフ ある愛の調べ」(2007年、ロシア)

監督:パーヴェル・ルンギン
出演:エフゲニー・ツィガノフ、ヴィクトリア・トルストガノヴァ、ヴィクトリヤ・イサコヴァ、ミリアム・セホン

4月19日、Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。

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