橋本以蔵の人気コミックが原作の香港映画「軍鶏 Shamo」が5月3日公開される。主演の香港人俳優、余文樂(ショーン・ユー)がこのほど来日。「出演作の中で最も好きな作品。原作のファンに気に入ってもらえれば」と話した。
原作者の橋本以蔵(右)と握手する余文樂(ショーン・ユー)=東京・新橋で1月末、遠海安撮影
橋本以蔵の人気コミックが原作の香港映画「軍鶏 Shamo」が5月3日公開される。前作の「ドッグ・バイト・ドッグ」(06)に続き、鄭保瑞(ソイ・チェン)監督のバイオレンス描写が弾ける作品だ。公開を前に「インファナル・アフェア」シリーズで知られる主演の香港人俳優、余文樂(ショーン・ユー)がこのほど来日。原作者の橋本とともに舞台挨拶に立ち「出演作の中で最も気に入っている。原作のファンに気に入ってもらえれば」と話した。
両親殺しで少年院に入れられた16歳・成嶋亮。心身ともに傷つけられ、生き抜くために闘い続ける様を、壮絶な格闘シーンとともに描く。ひ弱な少年が凶暴な“軍鶏”に変貌する過程を、ショーン・ユーは狂気に満ちた演技で表現。劉偉強(アンドリュー・ラウ)監督の「頭文字(イニシャル)D THE MOVIE」(05)などで見せた繊細なイメージを覆し、新境地を開拓した。日本から石橋凌、K−1選手の魔裟斗、香港の演技派・呉鎮宇(フランシス・ン)、梁小龍(ブルース・リャン)、台湾の若手・郭品超(ディラン・クォ)と共演者も多彩。 文字通りアジアを横断する“無国籍映画”に仕上がった。
「出演作の中で最も好きな作品になった」と話したショーン・ユー=同
「出演作の中で最も好きな作品になった」というショーン・ユー。「原作のファンに気に入ってもらえればうれしい。結末が原作と少し異なるが、やはりストーリーが素晴らしい。みんなの努力で非常によい出来になった」と語った。「完成した映画を観たばかり」という橋本。「『軍鶏』はここ15年ほど、何とか映画化しようと頑張ってきた。やっと実現でき、仕上がりにも非常に満足している」と、晴々とした表情を見せた。
舞台挨拶での主なやりとりは次の通り。
――出演依頼が来た時の気持ちは。
ショーン:以前から原作漫画を読み、ファンだった。オファーが来た瞬間、すぐに「やります!」と答えた。
――役作りはどのようにしたか。
ショーン:出演依頼を受けて漫画をもう1回読んだ。(ソイ・チェン)監督と話し、どういう役にしていくか、原作を見ながら作り上げた。
――脚本化で心がけた点、大事にした点は。
橋本:「軍鶏」はもともと映画用の企画だった。漫画をストレートに映画化した。初めは自分で監督しようと思っていたが、ギリギリのところでソイ・チェン監督に任せると決断。香港の(撮影)チームに(製作を)お願いした。ソイ・チェン監督の感覚が生き、香港のスタッフ、キャストがよくやってくれた。(原作を)そのまま映像化してくれたことに満足している。
――スクリーンのショーンを見た感想は。
橋本:素晴らしい。魔裟斗さんは本物の格闘家。体のつくりが特別だから、ショーンは相当大変だったろう。負けずに頑張ってくれた。役柄はとてもハードで、そのまま表現しても観客に伝わりにくいものがある。ショーン持ち前の甘さやソフトな感じや演技力で、亮の内面がとてもよく伝わってきた。
――魔裟斗さんとのアクションシーンは大変だったのでは。共演した感想は。
ショーン:魔裟斗さんはK−1の試合で見ていた。素晴らしいファイターで、素晴らしい格闘家だと知っていた。共演できると聞いた時は、うれしさ半分、怖さ半分、悲しさ半分というか……。共演できるのはとてもうれしかったけれど「魔裟斗さんと闘わなきゃいけない」と思った途端、悲しくなった(笑)。
――格闘シーンでは実際(パンチを)当てられたりしたのか。
ショーン:たぶん魔裟斗さんは、かなり手加減して抑えてくれていたと思う。もし本気でやられていたら、最初の一発でそのまま病院へ行っている(笑)。
――痛くはなかったか。
ショーン:最初に殴られるシーンがあった。殴られた時にはもう気絶していたから、痛みは分からなかった(笑)。
――作品にこめた思いは。
橋本:日本の少年犯罪から、作品の構想が始まった。15年ほど前に極真空手と出会い、門下生になり、道場の中で作品の構想がまとまった。今の世の中、若い人たちの精神がおかしな迷路に入り込んでしまっている。肉体でしか“もの”を表現できない境地に追い込まれることで、逆に迷路から脱出できるのではないか。基本的にはエンターテインメント。まず映画として楽しんでほしい。テーマについては、感じる人たちに任せたい。映画は総合力。ソイ・チェン監督の演出力、ショーンの魅力。黒川を演じた……僕、ファンなんだが(笑)、フランシス・ンも素晴らしい役者。音楽も素敵だ。総合力で、ストーリーの強さは伝わる。やっぱり作品を楽しんでもらいたい。いろいろ見どころはあるので、それぞれに見つけてもらいたい。
「軍鶏 Shamo」(2007年、香港)
監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
出演:余文樂(ショーン・ユー)、郭品超(ディラン・クォ)、魔裟斗、石橋凌、呉鎮宇(フランシス・ン)、梁小龍(ブルース・リャン)
5月3日、新宿トーア、シアター・イメージフォーラムほかで全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。
◇ ◇ ◇