「神様のパズル」
(C)2008「神様のパズル」製作委員会
「人間は宇宙を作れるか」。壮大なテーマに挑むのは、落ちこぼれロッカーと飛び級天才少女だ。
ロッカーの基一(市原隼人)は、いつかビッグになることを夢見ているが、今は寿司屋でバイトしている。基一には、双子の弟・喜一がいる。兄とはすべて正反対、宇宙を研究する優秀な大学生だ。ところがその弟が突然、「女の尻を追って」海外旅行に出てしまう。「弟の代わりに授業に出ればいい」と、気軽に身代わりを引き受けた基一。ところが担当教授から、飛び級の天才少女・沙羅華(谷村美月)を「ゼミに参加させるように」と言い渡される。天才少女は、どうやら学校に姿を見せていないようだ。
孤独な心を抱えた沙羅華は、母親が“天才児”ほしさに人工授精で身ごもったという。アメリカに住んでいた彼女は、持論の「宇宙創生」を日本政府に支持され来日した。しかし、天才を持てあまし気味の大学と、はれものを触るように扱う人間たちにウンザリしていた。そこへ突然、基一が現れる。「宇宙創生の謎」なんて、まったく無縁な彼。「宇宙は作れんの」とストレートに問われ、沙羅華の視線は初めて基一に向けられる。翌日、ゼミに現れた沙羅華に驚きながらも、基一は「宇宙創生」について猛勉強を始める。
沙羅華の考案した宇宙創生装置は、∞(無限大)の形をしている。「装置の中でビッグバンを起こせば宇宙を作れる」が彼女の説。だが、絶対的に足りないものがあった。それは想像を超えるエネルギーだ。莫大な費用を投じて建設された装置は「何も生み出さない」と非難を浴び始める。非難の矛先は、天才ともてはやされた沙羅華に向けられていく。沙羅華は言う。「私は自分を天才と言ったことはない。周囲が勝手に天才と持ち上げたのだ」と。しかし、宇宙を作れなければ、彼女は自ら命を絶つもりだった。彼女の頭脳が暴走を始めた時、装置は不気味な熱を帯び始める。沙羅華の暴走を止めようと、暴風雨の中、基一はバイクを飛ばす。彼女にあるものを届けようと──。
宇宙は結局作れなかったが、沙羅華の中に「感情」を作ることには成功したようだ。今、基一は真剣に寿司を“創生”している。いつの日か、沙羅華が笑顔で食べに来てくれることを願って。
“宇宙創生”の話は、まるでチンプンカンプンの私。主人公の基一も、私に負けないくらいチンプンカンプンだ。彼に同調できるので、分からないなりに頑張っている気持ちがよく分かる。ゼミで沙羅華がバトルしていた話の中身はまったく理解不能。ポカンと口を開けて見ていた基一と一緒である。そんな基一と一緒に考え、「宇宙創生の謎」を解き明かそうとしていくのは、なかなか楽しい。
沙羅華が「宇宙創生の謎」を探求するのは、無の状態から何かが加えられてできた宇宙と、人工的に手を加えられて誕生した自分をダブらせているからかもしれない。無表情で淡々と話す沙羅華に「それでいいのか」と問いただす基一。彼女の心に風穴を開けられるだろうか。
天才少女・沙羅華に真正面から挑んでいく、落ちこぼれ・基一にエールを送りたい。
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「神様のパズル」(2008年、日本)
監督:三池崇史
出演:市原隼人、谷村美月
6月7日、全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。