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「白い馬」「赤い風船」 ラモリス不朽の名作 待望の再映

沢宮亘理2008/06/17
フランスのアルベール・ラモリス監督の代表作「白い馬」と「赤い風船」。主人公の少年に降りかかる試練を、幻想的で美しい映像でつづる。
フランス 映画 NA

<center>「白い馬」 (c)Copyright Films Montsouris 1953</center>
「白い馬」 (c)Copyright Films Montsouris 1953
 フランスのアルベール・ラモリス監督の代表作2本「白い馬」と「赤い風船」。デジタル・リマスター版による待望のリバイバル上映である。

 有名な作品ながら、観る機会を逸してきたラモリス作品。“映像詩”と呼ばれるせいか、ほのぼのとした牧歌的なイメージを抱いていたが、予想は完全に裏切られた。両作品とも主人公の少年に襲いかかる苛酷な試練を描いており、幕切れはいわゆるハッピーエンドとはかけ離れたものだった。

 「白い馬」は、野生馬のリーダーである美しい白馬と、漁師の少年との心の絆を描いた作品だ。舞台は、南仏の沼地に面した草原地帯。地元の牧童たちが、白馬を捕獲すべく執拗に追い続けている。白馬に魅了された漁師の少年が逃亡を手助けするが、最後に追いつめられ、逃げ場を失う──。徹底したリアリズムの映像。それだけにラストシーンは衝撃的だ。美しくも痛ましい結末には、神話的な香りが漂う。

 全編が素晴らしい映像の連続だが、とりわけ印象的なシーンがある。いったん捕獲された馬が自力で逃げ出して、仲間のもとに帰り、新しいリーダー馬と決闘する場面。前足を高く振り上げ、後足だけで立ち、相手の首にかみつき合う、馬と馬の壮烈な闘い。迫力ある映像に息をのむ。

 登場人物のセリフはなく、聞こえるのは音楽とナレーションのみ。シンプルな白黒画像が、映画は秒速24コマの写真芸術なのだということを再認識させてくれる。

 1953年のカンヌ国際映画祭グランプリおよびジャン・ヴィゴ賞を受賞した。

<center>「赤い風船」 (c) Copyright Films Montsouris 1956</center>
「赤い風船」 (c) Copyright Films Montsouris 1956
 「赤い風船」は、少年と赤い風船との間に生まれた“友愛”を描いた作品だ。街灯に引っかかった赤い風船を、通学途中の少年が手に取り、そのまま持ち去る。しかし、少年が大切に持ち帰った風船を、母親は無情にも窓から放り出す。ところが不思議なことに、風船は飛び去らず、そのまま窓の外に留まっている。風船は少年がどこへ行こうと必ず後をついてくるようになる。

 少年と風船は、悪童たちにとって格好の標的となる。少年と風船は路地を逃走するが、逃げ切れず、ついに悪童の投げた石が風船に命中する。しぼんでいく風船を前に、嘆き悲しむ少年。すると、次の瞬間、奇跡が起こる──。現実から一気にファンタジーへと飛躍する、鮮やかなラストである。

 ラモリス監督にとって初のカラー作品。美しい色彩で記録されたパリの風景にも注目したい。

 1956年のカンヌ国際映画祭パルムドールおよびルイ・デリュック賞を受賞した。
「白い馬」「赤い風船」予告編 (1分37秒)

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「白い馬」(1953年、フランス)

監督:アルベール・ラモリス
出演:アラン・エムリー、ローラン・ロッシュ

「赤い風船」(1956年、フランス)

監督:アルベール・ラモリス
出演:パスカル・ラモリス、サビーヌ・ラモリス

7月26日、シネスイッチ銀座で公開。作品の詳細は公式サイトまで。

 台湾の侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が、ラモリス監督と「赤い風船」にオマージュを捧げた作品「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」も同時公開される。

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