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「クライマーズ・ハイ」 堤真一・堺雅人ら会見

日航機墜落から23年 原田監督「ジャーナリスティックな視点で」
遠海安2008/06/17
1985年8月12日に起きた日航ジャンボ機墜落事故。犠牲者520人を出した惨事から23年。事故を取材した地元紙記者らの葛藤を描く「クライマーズ・ハイ」の公開を前に、東京都内で6月17日、主演の堤真一、堺雅人、尾野真千子、原田眞人監督が記者会見した。原田監督は「大組織に生きる個人の尊厳は、自分が持ち続けているテーマ。ジャーナリスティックな視点を忘れず、新聞社という“大家族”に生きる記者たちを描いた」と語った(完成披露試写会・舞台挨拶の動画があります)。
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<center>「クライマーズ・ハイ」の(右から)原田眞人監督、堤真一、堺雅人、尾野真千子=東京・有楽町で6月17日、筆者撮影</center>
「クライマーズ・ハイ」の(右から)原田眞人監督、堤真一、堺雅人、尾野真千子=東京・有楽町で6月17日、筆者撮影
 1985年8月12日、群馬・御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落した。死者520人、単独機としては史上最悪の惨事から23年。事故を取材した地元紙記者らの葛藤を描く「クライマーズ・ハイ」の公開(7月5日)を前に、東京・有楽町で6月17日、主演の堤真一、堺雅人、尾野真千子、原田眞人監督が記者会見した。原田監督は「大組織に生きる個人の尊厳は、自分が持ち続けているテーマ。ジャーナリスティックな視点を忘れず、新聞社という“大家族”に生きる記者たちを描いた」と語った。また東京・新橋で同日、完成披露試写会が行われ、4人が舞台挨拶に立った。

「クライマーズ・ハイ」完成披露舞台挨拶 (20分37秒)

 「クライマーズ・ハイ」は、作家・横山秀夫による同名小説の映画化。当時、地元紙記者として事故を取材した横山が、自らの体験をもとに書いた原作は、2003年に出版されにベストセラーとなった。地元紙「北関東新聞社」で取材の総指揮を執るデスク・悠木和雅に堤。悠木に憧れつつ反発する県警キャップ・佐山達哉に堺。男社会で奮闘する新人女性記者・玉置千鶴子を尾野が演じている。

 錯綜する情報に混乱する現場、加熱する全国紙との報道合戦、妬みや嫉妬で壊れる人間関係──。「新聞は命の重さを問えるのか」。未曾有の大惨事を前に、異様な熱気に翻弄されつつ、自問と決断を迫られる記者たち。「クライマーズ・ハイ」とは、登山で興奮が極限に達し、恐怖が薄れる精神状態を指す。事故にかかわった記者たちの“熱い1週間”になぞらえている。

<center>「記者という仕事の怖さも感じた」と話す堤真一=同</center>
「記者という仕事の怖さも感じた」と話す堤真一=同
 映画「金融腐蝕列島 呪縛」(99)、「突入せよ!『あさま山荘』事件」(02)など、社会的な題材を多く扱ってきた原田監督。多くの犠牲者を出した実際の事故を取り上げたことについて「横山さんは17年かけて原作を書き、遺族の方々に非常に気を使っていた。そこをおかしてはいけないと考えた」と説明。事故現場の光景についても「遺体の描写は幻想的なシーンで処理した。映画の最後に『遺族の中には事故の再調査を望む声がある』とテロップを入れた」と説明した。

 一方、自らの役柄について、堤は「悠木は孤独で孤高の男。僕は現場で冗談を言うほうだが、今回は無駄口もきかず、余計なことは話さず、撮影に臨んだ。悠木が自分に仕向けたようだった」と振り返った。「自分の父親世代」である佐山を演じた堺は「仕事で世界と勝負し、言い訳も解説もしない世代。彼らの背中を見て育ったことを改めて意識した」と語った。さらに新人女性記者・玉置を演じた尾野は「身なりも気にせず、先輩に必死でついていく男らしい役。パソコンも携帯電話もない時代に“足で(ネタを)稼ぐ”仕事の魅力を感じた」と話した。

 さらに、新聞記者という仕事について「とても魅力があるが、ちょっとしたことで何かに利用されたりもする。物事を伝えることの怖さも感じた。自分がもし記者なら徹底的に戦いたいと思うだろう」と堤。一方、堺は「人が全速力で物を追う時の美しさ、かっこよさがある。しかし、自分が予期せぬ加速がついた時、人を傷つけてしまう恐ろしさも。実際に記者の人たちを外から見て感じた」と話した。

「父親世代を演じるのは、不思議な体験だった」と話す堺雅人=同
「父親世代を演じるのは、不思議な体験だった」と話す堺雅人=同
遺族「一人でも多くの人に観てほしい」
 会見の最後に、事故で息子の健君(当時9歳)亡くし、「8.12連絡会 日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故被災者家族の会」の事務局長を務める美谷島邦子さんのコメントが読み上げられた。

 「23年間、この事故が『忘れてはならないもの』として、一人でも多くの人々の心に書きとめられていくことが願いでした。食い入るように見ました。あの一瞬からの時を抱きしめるように。まるで23年の月日が流れたなどと信じられないほどに、臨場感あふれるものでした。空港で手を離した時の健の後ろ姿、あの時のぬくもりが襲ってきて、胸がいっぱいになりました。そして最後のメッセージに、520の命の叫びのようなものを感じました。やっと書きました。お伝えしたいことは、たくさんあります。一人でも多くの人に観てほしい。そして監督さんはじめ、この映画の製作に携わった皆様へ、520の御霊とともに『ありがとう』と伝えたいと思っています」

 原田監督は「美谷島健君の名前は、僕にとって日航機墜落事故の原点。『美谷島健、9歳』。乗客名簿に見た時、『お父さんもお母さんもいないところで、彼は亡くなったんだ』と。その衝撃をずっと引きずっていた。映画では子を思う親の心を中心に描いた。その気持ちに突き動かされて撮った」と語った。

「クライマーズ・ハイ」予告編(1分12秒)

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「クライマーズ・ハイ」(2008年、日本)

監督:原田眞人
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努

7月5日、丸の内TOEI1ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
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