「コッポラの胡蝶の夢」
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第二次世界大戦前夜のルーマニア。74歳になる言語学者のドミニクは、雷に打たれて若さを取り戻し、超人的な知能を発揮するようになる。病院で療養しながら、次々と新しい言語をマスターしていくドミニク。その並外れた能力に注目したナチスは、彼のもとに女スパイを差し向けた。身の危険を感じたドミニクはスイスに亡命。そこで彼は、見覚えのある女性に遭遇する――。
フランシス・フォード・コッポラ監督、10年ぶりの新作「コッポラの胡蝶の夢」。ルーマニアの文学者ミルチャ・エリアーデの幻想小説「若さなき若さ」の映画化である。「若返って再びライフワークに取り組む」主人公。その姿が「映画青年だった頃のように自由に映画を撮りたい」と考えていたコッポラ自身に重なることから、強い共感を抱き、映画化を決めたという。
自由に映画を撮るため、コッポラはハリウッドを離れ、原作の舞台であるルーマニアでの撮影を決行。また、主役を除き、キャストやスタッフは、ルーマニア人を中心とした編成を組んだ。
ハリウッドとかけ離れた撮影環境は、コッポラの創造力を大いに刺激したようだ。落雷の直撃。奇跡的な回復と若返り。女スパイの誘惑。スイスへの亡命。別れた恋人ラウラと瓜二つの女性、ヴェロニカとの出会い。ヴェロニカとの別れ。そして、終盤の急転回。大戦前夜から終戦後までの時間の流れの中に、いくつもの見せ場を作りつつ、テンポよく物語を展開させ、ハリウッドの巨匠とは思えぬ、瑞々しい感覚あふれる作品に仕上げている。
俳優たちの演技も素晴らしい。かねてコッポラ作品への出演を熱望していたというティム・ロスは、知的で愁いをおびたな主人公のドミニクを精妙に演じており、コッポラが“本物の宝”と評するルーマニアの女優アレクサンドラ・マリア・ララは、ラウラ、ヴェロニカ、ルピニという相似形の3役を繊細な表現力で演じ分けている。ほかに、ドミニクの主治医に扮したブルーノ・ガンツ、ナチスの女スパイに扮したアレクサンドラ・ピリチが、それぞれ印象に残る演技を見せている。また、前作に出演したマット・デイモンがジャーナリスト役で顔を見せるので、見逃さないでいただきたい。
「ゴッドファーザー」「ゴッドファーザーPARTU」「地獄の黙示録」で不動の地位を確立したものの、その後は振るわず、この10年は無聊をかこっていたコッポラ。新作の噂も立たず、このままフェイドアウトするかとも思われたが、本作で見事にカムバックを果たした。
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「コッポラの胡蝶の夢」(2007年、アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア)
監督: フランシス・フォード・コッポラ
出演:ティム・ロス、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ
8月30日、渋谷シアターTSUTAYAほかで全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。