子供たちが学校でブタを育て、食べることについて考える「ブタがいた教室」が10月25日、第21回東京国際映画祭コンペティション作品として上映された。上映後のティーチイン(質疑応答)では一般の観客に混じって見ていた俳優・松山ケンイチが質問。主演の妻夫木聡、前田哲監督とのやり取りに、客席は大いに盛り上がった。
「ブタがいた教室」ティーチインに参加した(左から)トータス松本、妻夫木聡、前田哲監督、原案の黒田恭史氏
=東京・渋谷で10月25日、筆者撮影
子供たちが学校でブタを育て、食べることについて考える「ブタがいた教室」が第21回東京国際映画祭コンペティション部門で上映され、東京・渋谷のBunkamuraで10月25日、主演の妻夫木聡、前田哲監督のティーチイン(質疑応答)が開催された。
「ブタがいた教室」は18年前、大阪の小学校であった実話を基に作られた。初の先生役に挑んだ妻夫木聡と生徒26人が「自分たちで育てたブタを食べるか食べないか」について話し合い、命の尊さと向き合う作品だ。
ティーチインには、生徒役で出演した子供たちも客席に。ジャケットにネクタイ姿の妻夫木聡が登場すると、満席の場内から歓声が上がった。生徒たちから「星先生!」と役名で呼ばれると、とたんに顔がほころび、うれしそうに手を振った妻夫木。「静かに」と唇に指をあて、生徒を促す先生らしい様子も見せた。
客席に手を振る妻夫木聡=同
国際映画祭のため、英語で名前を紹介されると「今日は得意の英語は控えて、日本語で」とジョークを交え「だいぶ前に企画を頂き、“命の授業”に興味があったので、ぜひやりたいと思った。僕と子供たちが一緒に学べた作品」と挨拶した。
続いて、前田監督が「声援が“星先生”だけとはおかしい」と生徒に声援を強要。会場の笑いを誘いながら、自身の作品がコンペティション部門に出品されたことについて「第1回東京国際映画祭で相米監督(故・相米慎二監督)が『台風クラブ』でこの場に立たれたことを思うと、同じ場に立てて光栄。相米さんのことを思い出すと、涙ぐんでしまうのでこれくらいに」と、真剣な表情で答えていた。
その後の質疑応答で、前田監督は子供たちの“心からの言葉”を撮るため演技は強要せず、7台のカメラで瞬間に出た表情をとらえるようにしたこと、妻夫木も星先生になりきり、台本にはない生徒との本気のやり取りが撮影できたことなどを明かした。妻夫木も“命の大切さ”について「教師として、子供たちにどう伝えるかを一番大切に思っていた」と語った。
客席から質問する俳優の松山ケンイチ=同
客席とのやり取りが続き、最後の質問に手を上げたのは、一般の観客に混じって作品を見ていた俳優の松山ケンイチ。思わぬできごとに、観客もびっくり。松山は「すごく面白かった。子供たちと星先生(の様子)がリアルで、久しぶりに胸に響く作品を見た。監督、妻夫木さん、ありがとう」と感想を述べ、「星先生は職員室にいる時と教室にいる時、人間関係が違うのは分かるけれど、芝居もまったく違うように感じた。(俳優は)動物と子供には勝てないと聞くが、子供たちに対してそういうものを感じていたのか」と突っ込んだ質問を投げかけ、会場をわかせた。
これに対し、妻夫木は「後輩にダメ出しされるとは思わなかった」と言いながら、「一番大切なのがディベート(話し合い)のシーン。あのシーンに関しては、そもそもの芝居の仕方が違っていて、“こういうふうに役を構築しよう”という考えがなかった。本番で子供たちが学芸会のようになってはいけない、と思った。僕自身、何ができるかを考えた。どう(演技を)引き出してあげるかということと、星先生の言葉を投げかけることだった。本当は10〜15分くらいの長い芝居だったのに、隣の監督がカットしてしまった。メイキングのDVDで僕の芝居を見てください」と笑顔で答えた。
さらに松山が質問を続けると、観客も大喜び。監督から「ケンイチ君、俳優というのはどういうバックグランドで生きてきたのか、生きざまが出るもの」と諭される場面もあり、3人の楽しいやり取りに会場は大いに盛り上がった。さらに、この日はうれしいサプライズ続き。原案者の黒田恭史氏と、主題歌「花のように星のほうに」を歌うバンド「ウルフルズ」のボーカル、トータス松本が花束を持って登場。トータス松本がアコースティックの生演奏で主題歌を披露した。
最後に妻夫木が「この映画は命について、僕らが真摯に向き合って作った映画。心と心のキャッチボールをする姿を、少しでも多くの人に見てほしい」と締めくくり、客席の生徒たちも立って挨拶。温かく大きな拍手を受けていた。
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「ブタがいた教室」(2008年、日本)
監督:前田哲
出演:妻夫木聡、26人の子どもたち、大杉漣、田畑智子、池田成志、原田美枝子
11月1日、シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほかで全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。
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