(c)2009 鈴木由美子・講談社/劇場版「カンナさん大成功です!」
鈴木由美子の同名コミックが原作の「劇場版 カンナさん大成功です!」。大学の学食で働くカンナが全身整形で生まれ変わり、恋に奮闘する姿を描いている。韓国で昨年一足早く映画化されて大ヒットした。韓国版は音楽業界を舞台に“姿かたちは醜いけれど、美しい声をもったゴーストシンガー”を主人公に描いている。今回の「劇場版 カンナさん大成功です!」は、アパレル業界を舞台に、過去の自分と決別し、仕事と恋に前向きに生きるカンナを描く。
大手アパレル会社の縫製工場で働く神無月カンナ(山田優)。醜い容姿ゆえに「ブタゴリラ」などと呼ばれ、心ない言葉や態度に傷つけられてきた。優しい言葉をかけてくれたのは、憧れの浩介(永田彬)だけ。カンナは「つらい思いをしてきたから、死ぬ前に死ぬほど怖い全身整形を受けて生まれ変わってみよう」と手術を受ける。
美しく生まれ変わったカンナ。浩介の会社に乗り込み、あっさり受付に採用された。しかし容姿は美しくなっても、ついブスだったころの習慣が出てしまうカンナ。醜かったころと違う周りの反応に戸惑いながら、浩介にふさわしい女性になるため、仕事ができる美女軍団・チームビューティーの隅田川菜々子(中別府葵)の行動を研究する。
会社では縫製工場時代の同僚・カバコこと伊集院ありさ(山崎静代)とも偶然再会。カンナは菜々子の力を借り、カバコを変身させようとするが失敗。しかし、カバコは勘違いからポジティブな性格に変身する。そんな時、社内の新規ブランド・デザイン・コンテストでカバコが大賞、カンナも特別賞を受賞する。そして、デザイナー・カバコ、プロデューサー兼モデル・カンナ、二人のサポートに菜々子……新プロジェクトが誕生する。カンナはブスだったころに思い描いていた“美人になったら着たい服”をコンセプトに、「kanna」ブランドの準備を進める。だが、カンナの成功を快く思わないチームビューティーの彩花(佐藤仁美)らにより、ブランド発表1週間前、カンナの全身整形の事実が暴かれてしまう。ショックで立ち去る浩介。上司の橘(浅野ゆう子)は、新規ブランド発表イベントで全身整形について明らかにすることを条件に、カンナのプロデュース続行を認める。だが、今度は菜々子がカンナの元を去ってしまう。
そして迎えた新規ブランドの発表当日。「ズルしていい思いをするなんて不公平」とののしるる彩花たちに、「死ぬほど怖い整形をやろうって、勇気を出してよかった。死んじゃったら、恋も友情も知らないままだもん。生きててよかった」。カンナの心からの言葉に、場内から拍手が起こる──。
「劇場版 カンナさん大成功です!」は、整形で美しく生まれ変わった後のカンナを中心に描いている。韓国版は特殊メイクで主人公の整形前後を対比させ、整形で成功を収めながらも、失ったものへの思いを描き、異なる切り口だ。醜い容姿で悲しい思いを味わい、死ぬの思いで整形を決意する……美しくなった自分への反応に戸惑うのはどちらも同じ。
遠くにぼんやりとしか見えなかった夢が、美しい姿を手に入れて、初めて近くに見えてくる。カンナは夢を手に入れるため、本当の美人へと生まれ変わるため、懸命に努力する。ブス仲間だったカバコも勘違いからポジティブな性格に変身し、カバコに思いを寄せる男性まで現れる。コンプレックスを取り除いた時、初めて見えてくるものがある……カンナにとって、そのための全身整形だったのかもしれない。
恋に仕事に前向きに生きるカンナのキュートな魅力全開。元気をもらえる作品だ。主演の山田優、中別府葵はモデル出身の見事なプロポーションを披露。劇中のファッションも見どころの一つ。山崎静代(南海キャンディーズ)や永田彬(RUN&GUN)も新鮮な演技を見せ、柏原崇、浅野ゆう子らが味のある演技で脇を固めている。
「劇場版 カンナさん大成功です!」(2008年、日本)
監督・編集:井上晃一
出演:山田優、山崎静代(南海キャンディーズ)、中別府葵、永田彬(RUN&GUN)、佐藤仁美、柏原崇、浅野ゆう子
1月17日、渋谷東急ほかで全国公開。作品の詳細は
公式サイトまで。